当学会について(2016-17年度代表幹事より)

香月先生の後任の代表幹事を担当させていただいている東京農工大学の山崎です。どうぞよろしくお願いします。
本学会では、経済学を中心とする社会諸科学の理論を用いながら、農業構造問題に加えて、食料問題、農村問題、環境問題、海外農業動向などの問題領域をも包摂した、農業問題の全体像の理論的・実証的な研究に取り組んでいます。

本学会設立からの経過を簡単に紹介すれば、以下のようになります。1956年に農業経済学会「若手懇」に集まった研究者を中心に「土地問題」をテーマとした研究会を開催。翌1957年に名称を農業問題研究会とし、以後、定期的に研究大会を開催して、設立以来長きにわたり、若手の活躍を重視した活動を積み上げてきました。1999年には文部省学術登録団体として認可され、2000年には名称を「農業問題研究学会」に改めて、今日に至っています。2008年には、50周年記念出版「現代の農業問題」全4巻を公刊しています。2016年には、前身の農業問題研究会を含め60周年の節目を迎えています。

ところで、今日の日本農業では、生産者の減少と高齢化が並進し、さらには耕作放棄地の拡大といった農業後退的な側面が一面では目に付きます。TPPに代表される自由主義的貿易政策は、こうした動きに拍車をかける怖れがあります。その一方で、農業を巡る新しい動き、すなわち、従来なかった大規模経営体の出現、集団的な営農を目指す集落営農組織の簇生、家族経営とは異なる論理で動く農業生産法人の展開、加工や観光を取り込んで地域振興につなげる取り組み、新規就農者の増加、も見られます。政策的には、1999年の食料・農業・農村基本法下の農政は構造政策の側面と生活環境としての農村を維持・活性化させる側面との両面性を持ち、最近では、人・農地プランの作成や農地中間管理機構の設立など前者の側面が前面に出ているように見えます。そこで、こうした実態と政策のそれぞれに見られる両面的な動きを科学的に解明して統一的に理解したうえで、農業の重要性を広く国民の前に示しながらそれを維持発展させるための方向性を提案してゆく、大きな課題が我々につきつけられていると考えます。

このため、本学会は、これまでの伝統を踏まえつつ、真摯な議論を通じた農業問題研究の一層の深化を図っていく必要があるといえます。従前にも増して、会員各位の本学会活動への積極的な参加をよろしくお願いする次第です。また、本学会の主旨に賛同される多数の方々の御入会をお待ちしております。

2016年6月11日

山崎 亮一