2020年度秋季大会案内(第一報)

投稿者: | 2020年9月1日

2020年度秋季大会案内(第一報)を掲載いたしました。

2020年度農業問題研究学会秋季大会のご案内(第一報)

 2020年9月吉日

農業問題研究学会事務局

2020年度秋季大会大会案内

 

会員の皆様におかれましては、益々ご活躍のこととお慶び申し上げます。

今年度の秋季大会では、COVID-19の影響の影響で開催を見送りました春季大会シンポジウムを開催いたします。例年通り個別報告も開催いたしますので、皆様の積極的なご参加をお願い申し上げます。

なお、今回の秋季大会はオンラインで2日間にわたって開催されます。会場費や資料代が発生しないため、参加費はどなたも無料でご参加いただけます。ただし、事前登録を必要としますので、お早めのお手続きをお願い致します。

事前登録フォームの入力は、学会HPからお願いします。

 

【日  時】 2020年11月28日(土)13:00~17:45 (※zoom接続 12:30~)

29日(日)10:00~12:40 (※zoom接続 9:30~)

【場  所】 zoom meeting (接続先は事前登録時のアドレスに送付)

【大会内容】 シンポジウム、個別報告、総会 (全国幹事会は別日程で開催予定)

】 会員・非会員 無料

 

<大会スケジュール>

 

Ⅰ.11月28日(土)(13:00~17:45)―――――――――――――――――――――――――――

 

シンポジウム企画(本企画は春季大会で予定されていたものです)

 

テーマ:小農理論と発展途上国の多様な稲作農業の実態の接合

 

【企画のねらい】

今日のグローバル経済下においては、小農経済がボーダレス化した市場経済と直接的に対峙している。その中には、企業に取り込まれるものや不利な条件での取引を続けているもの、生産手段を失うもの等もみられ、多くの国において小農経済の縮小方向での変化が指摘されている。

一方、国連は2019-2028年を「国連家族農業の10年(United Nations Decade of Family Farming)」としている。そこでは、家族農業が世界の食料生産額の8割以上を占める主要な農業経営形態であり、社会経済・環境・文化等多様な側面で重要な役割を担っていること、また、地域経済・文化の一部として多くの農業・非農業の雇用を創出していること等が示されている 。また、2018年12月には「小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言(United Nations Declaration on the Rights of Peasants and Other People Working in Rural Areas)」が第73回国連総会で採択された。採択に際し、アメリカやオーストラリアは反対、日本やEUの複数国が棄権したが、国連的潮流においては、Family Farming やPeasantの存在やその役割の重要性の今日的な再認識、及びそれらを取り巻く経済社会の動きに注目が集まっている。本学会でも、2019年度秋季大会特別セッション「今日における農業問題研究の方法論的展開方向を考える-国際的な農業食料政治経済学の主要潮流との接点という視角から-」において、平賀緑氏より世界経済における資本蓄積と食料システムの変容について、池上甲一氏より変質するグローバル化の下で農民主体論の構築についての報告があった。その報告及び討論において、古典的な小農論に加えフードレジーム論や再小農化論等の新たな視点からの資本主義経済と小農経済の関係性、小農の定義や評価、資本主義経済と小農経済を対峙させる理論的枠組みについての熱心な議論が行われたところである。(秋季大会特別セッションの資料については、学会HPに掲載されている)

本シンポジウムでは、本学会で蓄積されてきた小農経済に関する議論を改めてふまえた上で、激変するアジア・アフリカの今日的な稲作農民の実態に注目し、その理解を深めることを目的とする。

 

第1報告では、横山英信会員(岩手大学)に古典的な小農規定を現代的な文脈から再整理していただき、日本の稲作経営を念頭おいた今日の実態掌握に有効な理論的視座をご提示いただく。第2報告から第4報告までは、発展段階の異なる途上国における稲作農民や米市場のアップデートな実態を中心にご報告いただく。第2報告は佐々木智氏(株式会社サタケ)によるタイの事例、第3報告は辻一成会員(佐賀大学)によるベトナムの事例、第4報告は横山繁樹会員(国際農林水産業研究センター)によるアフリカ(マダガスカル)の事例である。我々がこれまで想定してきた小農的稲作経営との共通点や相違点、あるいは今日におけるその強靭性や脆弱性に注目し、今後の稲作農業を中心とする地域農業構造のあり方をグローバルな視野から問う場になることを期待する。

【座長】 矢野 泉 (広島修道大学) 【副座長】 中村 勝則 (秋田県立大学)

 

【報告者と報告の概要】

第1報告 「小農経営の特徴を踏まえた現代日本農業問題の経済理論的検討-現状分析のための視座の提示-」

     横山 英信(岩手大学)

 

第2報告 「タイにおけるコメ産業の変化-加工資本の視点からの報告-」

        佐々木 智(株式会社サタケ)

 

第3報告 「工業化期ベトナムの小農経済と水田農業の変化(仮)」

        辻 一成(佐賀大学)

 

第4報告 「マダガスカル農業を中心に(仮)」

横山 繁樹(国際農林水産業研究センター)

 

【コメント】 

高梨子 文恵(弘前大学)  山崎 亮一(東京農工大学)

 

<タイムスケジュール>

◆Zoom meeting 接続開始〔12:30~〕

◆代表幹事挨拶〔13:00~13:05〕

◆シンポジウム〔13:05~16:55〕

○座長解題〔13:05~13:15〕  矢野 泉 (広島修道大学)

○第1報告〔13:15~13:45〕       横山 英信(岩手大学)

○第2報告〔13:45~14:15〕       佐々木 智(株式会社サタケ)

○第3報告〔14:15~14:45〕       辻 一成(佐賀大学)

○第4報告〔14:45~15:15〕       横山 繁樹(国際農林水産業研究センター)

<休 憩>〔15:15~15:25〕

○コメント①〔15:25~15:35〕 高梨子 文恵(弘前大学)

○コメント②〔15:35~15:45〕 山崎 亮一(東京農工大学)

○総合討論(座長まとめ含む) 〔15:45~16:55〕

◆学会総会〔17:00~17:45〕

Ⅱ.11月29日(日)(10:00~12:00)――――――――――――――――――――――――――――――

 

個別報告(10:00~12:40)

 

※個別報告は報告25分、質疑15分です。

◆Zoom meeting 接続開始〔9:30~〕

 

第1会場:

時間

報告タイトル/報告者

10:00

~10:40

「近畿型地域労働市場」地域における雇用劣化傾向と農業構造変動

/澁谷 仁詩(東京農工大学大学院)

10:40

~11:20

戦後農業恐慌からの回復過程-長野県宮田村の事例から考える-

/天野 元暁(東京農工大学大学院)

11:20

~12:00

地域労働市場と稲作作業受託組織の変遷-長野県宮田村N集落を事例として-            /高橋 絢子(東京農工大学大学院)

12:00

~12:40

地域労働市場変遷下における農家経営の展開過程-長野県宮田村N集落を事例に-           /三浦 啓介(東京農工大学大学院)

                                                        

 

第2会場:

時間

報告タイトル/報告者

10:00

~10:40

農業への企業参入に関する研究の現状と展望

/古田 恒平(明治大学)

10:40

~11:20

アメリカ 2018年農業法所得保障政策の実態と影響-カリフォルニア稲作農業に着目して-      /大田垣 慧(九州大学大学院)

11:20

~12:00

2000年代以降におけるリンゴ品種更新の展開とその課題-青森県と長野県との比較を通じて-       /鎌田 修全(中央大学大学院)

 

 

 

<個別報告要旨>

 

第1会場 <10:00~12:40>

 

○第1報告

  「近畿型地域労働市場」地域における雇用劣化傾向と農業構造変動

澁谷 仁詩(東京農工大学大学院)

2019年に長野県宮田村の農家に対して行った調査をもとに、対象地の地域労働市場と農業構造を分析する。先行研究によれば、2009年までの宮田村では、農家における青壮年男子世帯員の大宗が安定的な農外就業先を得て常勤化し、それゆえ地域の農地の保全が困難な状況が見られた。対して、今回調査では、青壮年男子のうちに、正社員の賃金水準の低下や、非正規雇用者の出現といった、今日的な「雇用劣化」傾向が確認された。こうした情勢を背景として、対象地における青壮年を含む専業農家層の伸長が生じていることを明らかにする。

 

○第2報告

  戦後農業恐慌からの回復過程-長野県宮田村の事例から考える-

天野 元暁(東京農工大学大学院)

    本報告では、90年代以降の国内の農業生産の絶対的縮小が、平成不況と絡み合った過剰生産恐慌すなわち農業恐慌であることを示す。さらに、平成不況下での地域労働市場の後退的変遷を踏まえた上で、長野県宮田村N集落における農業構造の動態分析を行うことで、過剰生産力の解消を通じた農業恐慌からの回復という、「後退」局面が支配的である中での日本農業の「発展」の契機を探る。

 

○第3報告

地域労働市場と稲作作業受託組織の変遷-長野県宮田村N集落を事例として-            

高橋 絢子(東京農工大学大学院)

長野県宮田村は、「宮田方式」という独自の地域農業システムで知られている。本報告では、宮田方式の3本柱の一つである、稲作機械共同利用・基幹作業受託組織の変遷と、その流れを汲み2015年より設立された全村的農事組合法人の近年の動向を、2019年宮田村N集落における調査により得られた農家の農業就業状況と関連付けて分析する。さらに「地域労働市場」の発展段階的視角から組織の展開を捉えなおし、当該地域における稲作作業受託組織の今後の課題を明らかにする。

 

○第4報告

  地域労働市場変遷下における農家経営の展開過程-長野県宮田村N集落を事例に-           

三浦 啓介(東京農工大学大学院)

本研究の課題は、先行研究により地域労働市場の構造転換が確認されている長野県宮田村N集落の農家経営が、地域労働市場の構造転換の影響を受けてどのように展開したのかを明らかにすることである。方法は、N集落を対象に1970年代以降5回行われた集落悉皆調査の個票データを用いた。結果、近年の「近畿型の崩れ」段階では、他出や農外就業が主だった後継者が雇用劣化の影響から農業を志向するようになる一方で、不安定な兼業を継続する者もおり、壮年農家後継者の行動の分化がみられた。

 

第2会場 <10:00~12:00>

 

○第1報告

  農業への企業参入に関する研究の現状と展望

古田 恒平(明治大学)

本報告では、農業への企業参入に関する研究を、農業構造論と地域農業論という視角を導入して整理する。この試みにより、一定の問題構成のもとで整序することが容易でない既往研究を、論理的に関連づけて概観できる枠組みを提示することが、第一の目的である。そして、このような把握によって、今後望まれる研究方向について展望することが、第二の目的である。結論を先取りすれば、農業構造論的な問題把握からは少し離れて、いかに企業参入を活用してそれぞれの地域農業を振興できるのかを問う、いわば地域農業論的な観点からの実態分析が目前の課題であることを主張する。”

 

○第2報告

  アメリカ 2018年農業法所得保障政策の実態と影響-カリフォルニア稲作農業に着目して-      

大田垣 慧(九州大学大学院)

    2018年12月、2019年から2023年のアメリカ農業政策を規定する2018年農業法が成立し、所得保障政策にも一部変更が加えられた。本研究では所得保障政策のうち、PLC、ARCを取り上げ、政策制定の背景、2014年農業法からの変更点を整理し、農場所得に与える影響について分析を行う。その上で、アメリカを代表する米生産地域の一つであるカリフォルニア州に着目し、2020年2月末に実施した同州でのインタビュー調査結果から、現行農業法は稲作農場所得にどのような影響を与えるのか考察する。

 

○第3報告

2000年代以降におけるリンゴ品種更新の展開とその課題-青森県と長野県との比較を通じて-       鎌田 修全(中央大学大学院)

2000年代リンゴ市場価格は低迷した。これに対してリンゴ産地は,新品種の導入による品種更新を進めた。こうした結果,2010年を転換点として,市場価格の上昇が生じた。この間,登録,未登録品種は倍増し,多品種化が進行する一方で,生産量は減少した。従来の品種更新の展開は,特定の優良品種へと過度に集中し,市場価格低迷を引き起こすことで,経営の不安定性を高める要因であった。しかしながら,2000年代以降における,リンゴ品種更新の展開は,確かに特定の優良品種への集中も見られるが,更新品種は分散化しており,市場価格を引き上げる傾向にあるという点で,従来の様相と異なる。従って,本報告では,2000年代以降におけるリンゴ品種更新の展開と,それに伴って,いかなる課題が生じているのか,青森県と長野県に関する統計資料を用いて検討する。

 

事前申込みフォームの入力の締切は11月27日です。

 

なお、例年ふるってご参加いただいている懇親会ですが、今回は学会としてはオンライン懇親会の場は用意いたしません。ご希望される場合は各自でご準備いただけますと幸いです。