2018年度農業問題研究学会秋季大会のご案内を掲載いたしました。
今回から、メールマガジンにご登録いただいている方には、メールマガジンにてHPへの掲載案内を送付しております。
※山崎報告の座長が柘植徳雄会員(東北大学)となりましたので、大会案内の差し替えを行いました(11/5)
【日 時】 2018年11月17日(土)10:00~17:30 (※会場受付は9:30から)
【場 所】 明治大学駿河台キャンパス(東京都千代田区神田駿河台1-1)
リバティータワー棟 8階1087教室(受付・報告会場)
6階1063教室(午後報告会場・分科会会場)
【大会内容】 個別報告、分科会、全国幹事会
【参 加 費】 会員2,000円 一般非会員2,500円 学生(会員・非会員とも)無料
【懇親会参加費】一般4,500円、学生3,500円(リバティータワー棟17階 スカイラウンジ暁)
<大会スケジュール>
Ⅰ.午前の部(10:00~12:00)――――――――――――――――――――――――――――――
※会場の受付は9:30からです。
◆個別報告(10:00~12:00)<8階1087教室>
※個別報告は報告25分、質疑15分です。
第1会場: 8階1087教室
時間 | 報告タイトル/報告者 | 座長 |
10:00
~10:40 |
首都圏近郊の市街化調整区域内農地問題の展開に関する研究
竹島 久美子(農林水産政策研究所) |
後藤 光蔵
(武蔵大学) |
10:40
~11:20 |
地域労働市場視角からの農業就業条件および「生産力の担い手」の地域性の検討
澁谷 仁詩(東京農工大学大学院) |
澤田 守
(中央農業総合研究センター) |
11:20
~12:00 |
北陸における大規模借地経営,集落営農の重層的地域性
-農業センサス個票組み替え分析を中心に- 細山 隆夫(農研機構 北海道農業研究センター) |
小野 智昭
(農林水産政策研究所) |
<昼 休 憩> 12:00~13:00
※全国幹事会 12:00~13:00 <6階1062教室>
Ⅱ.午後の部(13:15~17:30)―――――――――――――――――――――――――――
第1会場: 8階1087教室
時間 | 報告タイトル/報告者 | 座長 |
13:15
~13:55 |
農業からの労働力供給と賃金の地域性
曲木 若葉(農林水産政策研究所) |
野中 章久
(東北農業研究センター) |
13:55
~14:35 |
土木建設業者による農業経営における労働力配置の特徴
古田 恒平(明治大学大学院) |
友田 滋夫
(日本大学) |
14:35
~15:15 |
長野県飯島町における農業法人の展開方向の分析
久恒 裕介(東京農工大学大学院) |
宮田 剛志
(高崎経済大学) |
第2会場: 6階1063教室
時間 | 報告タイトル/報告者 | 座長 |
13:15
~13:55 |
ローザ・ルクセンブルク再生産表式論再論
山崎 亮一(東京農工大学) |
柘植 徳雄
(東北大学) |
13:55
~14:35 |
中国山西省穀物地帯における労働市場と農業構造に関する研究
-霍州市A村を事例に- 謝 驕南(東京農工大学大学院) |
山本 昌弘
(広島学院大学) |
14:35
~15:15 |
農業と学校教育の異分野連携はいかに可能か
―農業体験学習を事例として 渡邉 綾(一橋大学大学院) |
鈴村 源太郎
(東京農業大学) |
◆分科会(15:30~17:30)<6階1063教室>
テーマ:地域水田農業構造変動下における飼料用米と担い手
【企画のねらい】
近年,これまで農業を支えてきた昭和ヒトケタ世代が農業リタイアし,離農が本格的に進行している中で,これらの農地を引き受けて規模拡大を図る大規模個別経営が形成されていたり,集落営農組織が設立されている。
他方,水田のフル活用,自給率の向上を目指して,多収品種による飼料用米の生産が推進されており,その作付面積も大きく増加している。こうした飼料用米の生産主体については大規模経営体が多いということが先行研究から指摘されている。
飼料用米は,湿田地帯における新たな転作作物としての期待や,助成金水準の高さと安定性から収入が安定するなどのメリットも一般的に指摘されている。こうした指摘を踏まえつつ,飼料用米生産の取組が地域農業の担い手にどのような影響を与えているのかを現地調査に基づいて検討する必要がある。
そこで本分科会では,地域水田農業構造が大きく変化しつつある中,飼料用米の生産が地域の担い手にどのような影響を与えているのかを現地実態調査を踏まえた分析結果を報告する。
【企画の内容・構成】
本分科会の内容は,①主に飼料用米生産の普及状況等に関する統計分析の結果とともに,②多収品種による飼料用米生産が盛んな地域を対象として,その地域で展開する大規模経営体へのヒアリング調査に基づいた飼料用米生産に取り組む要因等の分析結果を報告する。調査地域は青森県五所川原市,茨城県稲敷市,岐阜県養老町,島根県出雲市,大分県宇佐市である(なお,本報告の内容は農林水産政策研究所編「飼料用米生産が地域水田農業構造に与える影響に関する調査研究」に基づいたものである)。
本企画の構成は以下の通りである。
座長:吉田 行郷(農林水産政策研究所)
第1報告:平林 光幸(農林水産政策研究所) 主に①を担当
第2報告:曲木 若葉(農林水産政策研究所) 主に②を担当
コメント1:西川 邦夫(茨城大学農学部)
コメント2:安藤 光義(東京大学大学院農学生命科学研究科)
◆懇親会(18:00~20:00) リバティータワー棟17階 スカイラウンジ暁
<個別報告要旨>
第1会場(1087教室)<10:00~12:00/13:15~15:15>
○第1-1報告
首都圏近郊の市街化調整区域内農地問題の展開に関する研究
竹島 久美子(農林水産政策研究所)
市街化調整区域は開発が抑制されるべき都市計画法上の区分であるが、農業振興地域に指定されていなければ農業振興施策の対象とはならず農地保全は困難となる。しかし、人口減少とともに都市の縮退が見込まれることから、首都近郊においてこそ、農業的土地利用による土地資源の保全が求められる。本研究では、新都市計画法制定以降の調整区域内農地に関わる制度史を明らかにし、調整区域内農地の保全の方策を検討する。
○第1-2報告
地域労働市場視角からの農業就業条件および「生産力の担い手」の地域性の検討
澁谷 仁詩(東京農工大学大学院)
本報告では、農林業センサス等の統計を用いて、近年の国内各地域における農家出身者の就業状況を分析する。まず、国内の農家人口・農業労働力人口の動向を、コーホート分析によって世代別グループの移出入としてみる。このうち特に青壮年世代の就農者に注目し、彼らがどのような経営体に就農しているのかを確認する。そして、彼らの就業選択における経済的誘因と、地域ごとの「生産力の担い手」農家の展開および労働市場の状況との関連性の分析を行う。
○第1-3報告
北陸における大規模借地経営,集落営農の重層的地域性-農業センサス個票組み替え分析を中心に-
細山 隆夫(農研機構 北海道農業研究センター)
本報告の目的は北陸における農業構造の地域性,特に農業の担い手たる大規模借地経営展開,集落営農展開の地域性を明らかにすることにある。対象は北陸を構成する新潟・下越~福井・嶺南の諸地域である。方法は主に2015年農業センサスデータ,及び同個票データの集計・分析である。その検討結果を大きく言うと,大規模借地経営,集落営農の展開は農地流動化の地域性を反映しながら,富山県呉東地域・下新川郡~新潟県上越地域・旧西頸城郡,旧中頸城郡との間で重層的に交差する状況にあった。
○第1-4報告
農業からの労働力供給と賃金の地域性
曲木 若葉(農林水産政策研究所)
本報告では,農業からの労働力供給を,供給形態およびその地域性を踏まえながら実証的に明らかにするとともに,これが賃金水準の地域性に与える影響を明らかにすることを課題とした。分析から,先発的に農村工業化の進んだ地域では在宅通勤兼業の進展および早期の賃金上昇が見られたが,東北のような後発的地域では他出や出稼ぎが多く,通勤兼業の場合も建設業従事者のウェイトが高いことに加え,賃金の上昇が遅いことが明らかとなった。
○第1-5報告
土木建設業者による農業経営における労働力配置の特徴
古田 恒平(明治大学大学院)
本報告では、土木建設業による農業への参入を主題として取り上げ、農業労働力をどのように確保し、どのような配置の下で営農しているのかを明らかにすることを目的とする。公共事業に依存する度合いの強い地方土木建設業による農業参入に関しては、余剰労働力や農業経験をもつ従業員の存在のために、労働に関わる側面では有利性をもつと認識されてきた。上述の点を明らかにすることでこの建設業による農業参入の有利性を検証する。
○第1-6報告
長野県飯島町における農業法人の展開方向の分析
久恒 裕介(東京農工大学大学院)
農地の管理作業などがネックとなり高い収益を上げることが難しい中山間地域の農業法人の展開を、長野県飯島町の農業法人を事例として分析する。近年の高齢者雇用の推進により、農外就業先で高齢者が雇用され、賃金水準が劣る中山間地域の農業法人が高齢者を労働力として確保が困難となっていることが指摘できる。また限られた労働力で、地域の農地を保全していくために、農業生産の粗放化が起こっていることを紹介していく。
第2会場(1063教室)<13:15~15:15>
○第2-1報告
ローザ・ルクセンブルク再生産表式論再論
山崎 亮一(東京農工大学)
ローザ・ルクセンブルクの主著『資本蓄積論』(1913) では、農民等から成る「非資本制外囲」の存在が、資本制社会が存続するための、必要不可欠の条件であるとしている。だが、従来、主にマルクス拡大再生産表式の批判的検討に基づくこの命題の論証過程は、不十分、あるいは恣意的であるとの見方が大勢であった。本報告では、こうしたローザ理論の再検討を行って、その今日的意義を考察する。
○第2-2報告
中国山西省穀物地帯における労働市場と農業構造に関する研究-霍州市A村を事例に-
謝 驕南(東京農工大学大学院)
山西省は中国における農民層分解の停滞的な地域として既存研究では紹介されている。本研究は改革開放以降、石炭資源の総合開発とともに、土地請負制度の成熟と戸籍制度の緩和など地域経済および政策法律変動のもとで、霍州市A村を事例に、山西省の労働市場と農業構造の実態がどのようになっているかを検討する。
○第2-3報告
農業と学校教育の異分野連携はいかに可能か―農業体験学習を事例として
渡邉 綾(一橋大学大学院)
本報告の目的は、小学校で行われている農業体験学習を事例として、農業と学校教育の異分野連携がいかに可能になっているのか、その一端を明らかにすることである。
現代日本の農業は、生産規模は縮小している。しかし、里山環境の保全、食や郷土文化の継承といった農業の多面的機能が再評価されるとともに、農業と福祉の異分野連携としての農福連携なども進められている。本報告では、1970年から事例が見られる古くて新しい農業と学校教育との異分野連携のあり様と今後の可能性を事例から読み解く。
<交通アクセス>
【明治大学駿河台キャンパス】
・JR中央線・総武線、東京メトロ丸ノ内線/御茶ノ水駅 下車徒歩約3分
・東京メトロ千代田線/新御茶ノ水駅 下車徒歩約5分
・都営地下鉄三田線・新宿線、東京メトロ半蔵門線/神保町駅 下車徒歩約5分